ん?
”何言ってんのかよくわかんない”(サンドウィッチマン風)。
だって会社は事業を行うものでしょう?
逆に事業を行うのは会社でしょう?
それの何が違うの?
いや、まーこの言っていることは正しいよ。
けどね。例えば、こういうときどうする?
会社がいくつか事業をやっていて、そのうちの一部分しか買い手は興味がないとき。
これってどうしようか。
この時に会社自体を売却してしまうと、買い手は困っちゃわない?
だって興味のないものがくっついてくるわけだから。
あー、なるほど。そういうことね。
まーくんの言いたいことがわかったわ。
年末年始の福袋みたいなもんでしょ?
あれっていろいろ入ってるけど、結構いらないものって混じってるよね。
そんなの買っても仕方ないもんね。
だからその福袋の中の欲しいものだけを選んで買うってことそういうことでしょ?
私もできればそうしたいわ(笑)
あはは。
まーこって、本当にものの例えが面白いよね。
けど、ほんとその通りだね。
ちなみにこれは「事業譲渡」っていうやり方なんだよ。
事業譲渡っていうのは、会社の中にある事業の一部を売買する取引なんだよ。
なるほど。
さっきから事業、事業ってうるさいけど、その「事業」って一体なんなの?
イメージはなんとなくわかるけどさぁ。
ちゃんと理解したいんだよね、真面目だから(笑)
それはいい質問だね!
「事業」っていうのは、「会社がお金儲けをしていくために一体として機能する財産」をいうんだ。
例を挙げると、在庫とか設備とかそういうのってわかりやすいよね。
けどそれだけじゃなくて、無形財産と言われるもの、技術であったり、顧客基盤、取引先、ノーハウなんかも含まれるんだよ。
へぇー、なるほどね。
目に見えるものだけじゃないんだ。
そういえば、「巧みの技」っとか言うもんね(笑)
それがなけりゃ、事業として成り立たない可能性があるもんね。
事業譲渡ってどういうものかわかったわ!
どうもありがとう!
M&Aって会社を売買するものって、ずっと思ってたから。
うん。まさにそれが1番みんなが想定しているM&Aのイメージだろうと思う。
それは「株式譲渡」といって、売り手が持っている株式を売買する取引をいうんだ。
この取引を通じて、買い手に会社の経営権を譲り渡すということさ。
ちなみにちょっと横道にそれるけど、株式譲渡の場合は、会社って言う”法人格”をそのまま譲渡する形になるんだ。
逆に、事業譲渡っていうのは事業を譲渡するだけであって、売り手企業の法人格は移らないんだよ。
よくわかったわ。
けど、大体M&Aってこの株式譲渡をイメージするから、事業譲渡ってそんなにメジャーじゃないんでしょ?
いや、実はそんなことないんだよ。
中小企業のM&Aでは事業譲渡ってかなり頻繁に行われているんだよ。
ちょっと下の図を見てごらん。
(出所)中小企業白書(中小企業庁)
えー!
こんなに事業譲渡って幅広く行われているんだ。
約40%か・・・
ほとんど株式譲渡とおんなじだね。
知らなかった。
ちょっとびっくり。
でしょ。
M&A専門家でも、結構このレベル感を認識していない人って多いんだよね。
まぁ、これは1つの調査結果にすぎないので、データの取り方次第ではばらつきは出てくるだろうけどね。
いずれにせよ、ある程度一般的に行われているっていうことは間違いないよ。
一般的に行われてるってことは、、、事業譲渡にはいろいろいいことがあるから、それを選択するわけだよね?
そりゃそうだよね。
1番メリットがあるのは、買い手に譲渡する対象を自由に決めることができるということなんだ。
ん?
さっき事業の定義みたいなのを聞いたとき、なんとなくカチッとした塊のイメージがしたんだけど?
いや、実はそんなことはないんだよ。
譲渡の対象っていうのは、売り手と買い手が合意すれば自由に決めることができるんだ。
ほんとにいろいろなバリエーションがあるんだけれども、わかりやすいようにいくつか例を挙げてみよう。
- 高く売れそうな事業だけを譲渡する
- 債務だけ切り離して資産だけを譲渡する
- 不採算で困っている事業のみを譲渡する
- 在庫や設備という目に見える資産は譲渡するけれども、それにまつわる特許は残しておく
まぁ、いろいろあるけど、よくあるパターンはこんな感じかな。
ちなみに、中小企業の場合、1つの会社で営んでいる事業は1つだけっていうケースも少なくないから、事業全体を譲渡するっていうこともあるんだよ。
へぇー、なんかすごくやりやすそう。
パズルみたいだね。
けど、私はそんなに子供じゃないからね。
モノゴトには必ずいい面と悪い面があるくらい知ってるわ(笑)
そこら辺、隠さず、ちゃんと教えてよ(笑)
はい、わかりました(笑)
1番のデメリットは、結構めんどくさいっていうことなんだね。
すごく子供じみた言い方だけど。
事業譲渡って言うけれども、手続き上はひとつの塊として譲渡するっていうわけじゃないんだ。
譲渡の対象とした資産や負債を一つ一つ譲渡していく必要があるんだ。
だから、例えばこういう必要があるんだね。
- 従業員や取引先からの同意の取り付け
- 債権者や債務者への通知や承諾(譲渡対象に含める場合)
- 契約の結び直し
- 契約の名義変更
- 登記や登録変更の手続(譲渡対象資産に不動産や特許権等が含まれている場合)
へー。
なんか聞いてるだけで超めんどくさそう。。
まぁね。
けど、これはケースバイケースかな。
大企業が事業譲渡するときには超大変なんだけど、中小企業の場合、そんなに数が多いって言うわけじゃないからね。
今回は以上にしておこうか。
事業譲渡のさわりだけ話したけど、色々と勉強になることがあるから、何度かに分けて話をするね。
了解!
事業譲渡がこんだけ多く行われているんだったら、きちんと理解しておかないとだめだよね。
ひょっとしたら、なんとなくイメージだけで株式譲渡を採用している場合もあるかもしれないもんね。
M&Aをやるときには、両方をちゃんと比較できるようにしとかないと!
お、珍しく今日はまーこが締めてくれたね。
どうもありがとう(笑)
ねー、まーこ、突然だけど、会社を売るのと事業を売るのって何が違うかわかる?