こちらをクリック 【集中連載】新型コロナ環境下で重要性を増す「事業譲渡スキームを語り尽くします!」

【事業譲渡】買い手のメリットとデメリットを整理してみた

事業譲渡を選択するということは、当然ながら理由があるわけですよね。

しかし一方で、事業譲渡を選択しない理由もあるわけです。

ということで、その判断を行う背景にある事業譲渡のメリットとデメリットについて簡潔に整理してみました。

今回は売り手に引き続き、買い手にフォーカスして話をしたいと思います。

買い手側のメリット 

柔軟な取引

事業譲渡は、事業譲渡契約に基づき、譲渡対象として合意した資産・負債・権利関係等を個別に移転させる取引です。

その場合、借入金等の負債や不要な資産は承継せずに、取得したい資産、従業員、取引先との契約などを選別して引き継ぐことができます。

簿外債務のリスクを遮断できる

借入金等の負債を引き継がない場合、簿外債務のリスクを最小化することができます。

なお、中小企業の場合、大企業と比較すると、経営者や担当者の故意・過失によって多種多様な形で簿外債務が存在しているリスクが高いため、このメリットは大きいでしょう。

節税効果がある

買い手が譲り受けた事業のうち、償却資産やのれん(営業権)が含まれる場合は、それらを償却(損金計上)することで節税効果が期待できます。

ちなみに、法人税法上、のれんの償却は、定額法にて60カ月で均等償却することとされています。

DDの範囲を限定することができる

譲渡対象とする資産・負債等を限定すればするほど、DDの範囲を限定することができます。この場合、DDに必要な労力が減らすだけでなく、DDにかかる専門家コストを引き下げることも可能性です。

買い手側のデメリット

事業の譲受手続に手間がかかる

事業譲渡により、当事者間で合意した資産(契約や権利を含む)や負債を買い手が承継することになりますが、事業譲渡契約の締結後に、次のような承継手続が必要となります。

譲渡対象必要な手続
債権(売掛金等)債務者への通知または承諾を得る
不動産移転登記
権利関係(特許権など)登録手続
債務(借入金等)債権者の承諾が必要
各種契約(雇用契約、取引先との契約など)新たに契約を結び直すか、同意を得て契約を引き継ぐ

これらは全て、売り手から一つ一つ個別に承継していく必要があります。

したがって、手続きが煩雑で時間を要することになります。

しかしながら、中小企業は大企業と異なり、債権者や契約の数が限られることも多いため、さほど負担にならないケースもあるでしょう。

資産・権利などにつき買い手の希望どおりに承継できない場合がある

モノの承継(在庫、設備など)は手続をこなすだけという側面が強く比較的容易ですが、ヒトが密接に関係する部分の承継(雇用契約、取引先との契約など)は相手の意向にもより確約できないところが事業譲渡の難しさです。

また、事業の許認可は事業主体ごとに出されるのが通常であるため、事業譲渡では原則として承継することができません。

したがって、買い手は事業譲渡後に改めて再度許認可の申請を行う必要があります。

株式譲渡と比較して、事業価値が毀損するリスクが相対的に高い

事業譲渡は個別承継であるため、売り手企業の取引先や従業員と新たに契約を結び直す必要があります。

その手続きの過程で、重要な取引先や従業員等を失ってしまい、事業価値が毀損するリスクがあります。

株式譲渡の場合はそのような手続きは基本的に必要ないことから、そのようなリスクは相対的に低いと言えるでしょう。

税金の負担

事業を譲受ける場合には、株式譲渡とは異なり別途消費税などがかかります(詳細は別途、解説します)。

まとめ

以上、主要なものをざっと述べてみました。

いかがでしたでしょうか?

上で述べたようなメリット・デメリットを総合的に考えて事業譲渡で進めるかどうかっていうことを判断するわけです。

ちなみに、当然ながら、ここで述べたようなメリットデメリットが、全ての売り手に同じように当てはまるというわけではありません。

また、同じメリットを感じていても、重要性や優先順位などは会社によって変わってくるはずです。

果てさて、あなたの会社は、事業譲渡向きでしょうか?、それとも株式譲渡向きでしょうか?、あるいはその他のスキームの方がいいのでしょうか?

ちょっと考えてみてはいかがでしょうか?

シェアしてね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください