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【事業譲渡】事業譲渡を成功に導くための秘訣

一旦M&Aプロセスが始まると、できるだけ早く、できるだけ自らの希望する条件に即した形で、取引を完了させたいと思うのは売り手も買い手ともに同じことです。

そこでここでは、事業譲渡をなるべくスムースにクロージングに持って行くためのヒントについて、少し整理をして話をしたいと思います。 

ここでは次の3点を挙げさせていただきます。

  • 事前準備をしっかり行うこと
  • M&Aプロセスをうまくコントロールして進めること
  • Win-Winの関係を築けるような相手と協議を進めること

ではさっそく解説していきましょう。

事前準備をしっかり行うこと

売り手・買い手ともに、自身の意向に沿った事業譲渡が実現するよう、事前に次のような準備を行っておくことが必要です。

こうした準備を行うことを通じて、両者ともにM&Aプロセスを進めていく過程で適宜GO・NO GOの判断を明確にすることができるようになります。

売り手
  • どの事業を残してどの事業を売るのかを明確にする
  • 譲渡したい事業に関わる資産と負債をリストアップする
  • 事業譲渡完了までに要する期間や必要なコストを見積もる
  • できるだけ好条件で売却できるよう、譲渡対象事業のアピールポイントを明確にしておく(独自の技術、熟練従業員、顧客リストなど)
  • 事業譲渡の実行に支障をきたしかねないリスクを整理する(例.従業員や重要な取引先から合意が得られるかどうか、スタンドアロンコスト)
買い手
  • どのような事業を買収したいのかについて、具体的にイメージする(自社の事業とどのようなシナジーを期待するか)
  • 売り手に対する取引実行上のアピールポイントを明確する(例.従業員を全て引き継ぐ、譲受対象事業にかかる借入金を承継しても構わない)
  • 事業譲渡を実行する上での制約条件を整理する(例.買収予算の上限額、債務は一切承継したくない、事業譲渡の実行期限)

M&Aのプロセスをうまくコントロールして進めること

事業譲渡は個別承継の手続きを踏むことから、事業譲渡契約を締結してから売買取引を完了させるためには次のような手続きが必要となります。

  • 譲渡対象事業にかかる従業員の引き継ぎ
  • 譲渡の対象となる契約のまき直し・見直し
  • 譲渡の対象となる債権について、債務者に通知または承諾を得る
  • 譲渡の対象となる債務について、債権者からの承諾を得る
  • ステークホルダーへの説明(株主、従業員、取引先など)

譲渡対象事業の規模が大きかったり、譲渡する従業員や契約の数が多いような場合では、このような手続に要する手間や時間は長くなります。

売り手と買い手で事業譲渡の協議を開始する時点から起算して、このような手続を含め売買取引が完了するまで、最短でも数ヶ月はかかります。

なお、相対的にいえば、売り手における手続は買い手よりも多くなることが一般的です。

いずれにせよ、事業譲渡では売買取引完了までの手続が多くなるため、必要な手続は何か、誰がどの手続を主導していくのか、どのような流れですすめていくのかといった点を当事者間できちんと整理し、着実に手続きを進めていくことが大切です。

Win-Winの関係を築けるような相手と協議を進めること

次のような状況においては、当事者間において、譲渡対象事業の価値について認識のギャップが存在します。

  • 売り手が債務超過であったり不採算事業であるが、買い手からみると既存事業との間で強いシナジーが期待できる(業績改善が可能)と考える場合
  • 売り手にとってはノンコア事業であっても、買い手にとってはコア事業である場合
  • 売り手が過小評価している無形の価値を、買い手が評価している場合(例.特殊な技術を保有、優良顧客の存在)

この価値認識のギャップが大きければ大きいほど、売り手は想定以上の高値で売却できる可能性が高くなり、買い手も想定以下の価格で買収できる可能性が高くなります。

つまり、売り手と買い手がWin-Winの形で事業譲渡が実行できるということになります。

したがって、上記のようなギャップが大きい相手とマッチングすることが、クロージングに導く可能性を高めることにつながります。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

早め早めに準備をしておくことが自らにとって、そして相手にとって、ハッピーな取引になるということです。

これってM&Aに限らずだいたい何でも当てはまることですよね。

特に M & A の場合は、金額が多額に及ぶことも多いので、より慎重に事を進めていくという要請はなおさら強いと言えます。

また、 M&Aは周りのステークホルダーに大きな影響を与えたりすることもあります。

なので、このような段取りを組むことは、自らの利益のみならず、全体最適という観点からも重要と言えるでしょう。 

あくまでも上に述べた内容は全て語り尽くしたものではありませんが、少しでも気に留めて案件を進めていただけるとありがたいかなと思います!

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